トヨタ紡織グループの設計・技術開発専門企業である株式会社TBエンジニアリング。従業員約300名を抱える同社では、IT推進グループのわずか2名が日々の問い合わせ対応に追われ、業務のリソースが圧迫されていました。
問い合わせはチャット・メール・口頭など複数の経路に分散し、記録も残らない。対応するメンバーの知識レベルの差から回答品質にばらつきが生じ、ユーザー部門にも負担をかけてしまっていたことから、Teams上で完結するAIヘルプデスクの構築をKICK ZA ISSUEにご相談いただきました。
今回は、弊社サービス「KICK SEARCH」導入の背景と効果について、株式会社TBエンジニアリング IT推進グループの冨永様・池口様にお話を伺いました。
ヘルプデスク業務担当はたった2名―現場が抱えていた課題
300名弱の問い合わせが日々2名に集中し、本来業務を圧迫
KICK SEARCH導入前には、社内の情報検索・ナレッジ共有に関してどのような課題を抱えていましたか。
池口様
ITヘルプデスク業務を担うメンバー2名に対し、従業員300名弱から毎日ランダムに困りごとや相談が届き、本来やるべき業務のリソースを圧迫していました。メンバーの知識や業務レベルにも開きがあったため、回答やサポートの品質に大きくばらつきが生じ、自部署だけでなくユーザー部門にも迷惑をかけてしまっていました。
汎用AIはまだ体験フェーズ、Teamsでの運用がねらい
ChatGPTなどの汎用AIチャットは既に利用されていましたか。課題解決に向けて社内で検討していたことはありますか。
池口様
導入当初はほとんど使っておらず、AIがどういうものかを体験したいというフェーズでした。トラブル事例の資料化や使えるデータの整備と、それを社員が使ってくれるプラットフォームで実装することを検討しており、特にTeamsでのコミュニケーションが活発な社風だったため、Teams上で運用できればと考えていました。
問い合わせ経路の分散と「誰が対応したか」が分からない状態が課題
具体的に、どのような業務で情報が見つからない・探すのに時間がかかるといった負担を感じていましたか。
池口様
チャット・メール・口頭など、そもそも問い合わせの経路自体が複数に分散していたことが大きな課題でした。どの経路から相談が来たのかも含め、誰が対応したのかを整理できていない状態が続いており、既知の質問だけでなく、これまで扱ったことのない未知の質問にも対応できる仕組みを理想としていました。
「Teams×SharePoint」への最適解と、専門知識ゼロでも安心できるサポート
4〜5社を比較検討しKICK SEARCHを選定
KICK ZA ISSUEにご相談いただく前の、比較検討の状況を教えてください。
池口様
様々なヒアリングや見積りを経て4〜5社を比較検討しました。その中で、最も実現したいイメージに近かったのがKICK ZA ISSUEでした。
専門知識がなくても温かく向き合ってくれる姿勢が決め手
数ある選択肢の中で当社を選ばれた決め手と、発注にあたり重視されたポイントを教えてください。
池口様
Teams×SharePoint(当社環境)に最適な提案であったこと、そして構築方法やAIについて無知だった私たちに対しても大変温かい言葉でサポートしてくださる安心感があったことが、一番の決め手でした。コストは他社と比較しても最も明瞭かつ適切でしたし、親会社のMicrosoft 365テナントを利用するという特殊な環境の中でも、機密保持やセキュリティ担保に前向きにご協力いただけたこと、カスタマイズ性の高さも重視したポイントです。実際にヘルプデスクチャットボットには、通知機能や解決ボタン、エスカレーション機能などが実装されました。
親会社の完全子会社という特殊な立場、機密情報を扱う厳しいセキュリティ条件への理解も重視
セキュリティ面について、特に厳しい条件があったと伺いましたが、詳しく教えてください。
池口様
私たちは親会社の完全子会社という特性があり、機密性の高い情報を扱う場面も多いため、セキュリティに関しては厳しい条件がありました。そうした特殊な事情をきちんとご理解いただいた上で支援いただけるかどうかを、発注にあたって特に重視していました。
具体的に、セキュリティ面ではどのような支援がありましたか。
池口様
Microsoft Power PlatformやSharePointのドキュメントライブラリに対して、役割ごとに適切な権限を割り当てるロールベースのアクセス制御(RBAC)を実装いただきました。個人情報保護法などのデータ保護規制にも準拠した設計にしていただいており、安心して運用できています。
開発環境の変更にも丁寧・迅速に対応
Azure想定からCopilot Studioへ、トライ&エラーに伴走
開発が始まった当初はどのような相談からスタートし、弊社からはどのような支援を受けましたか。
池口様
開発環境はAzureを想定していましたが、私たちの特殊な環境のためCopilot Studioでの開発に切り替えることになりました。その過程でもデータ整理などを相談しながら、様々なトライ&エラーに伴走していただきました。データの格納・管理の提案から実装、運用サポートまで一貫して支援してくださり、回答・対応ともに大変迅速かつ正確でした。
要件定義からデータ連携、チャットUI構築まで、環境や事情に合わせた提案
弊社からは具体的にどのような支援を受けましたか。
池口様
要件定義、データ連携、チャットUIの構築まで、そのすべての工程において私たちの環境や事情に合わせた方法・手法をご提案いただきました。汎用的な製品をそのまま導入するのではなく、独自の機能を実装していただいた点も印象的です。
たとえば、チャットボットの回答で解決しなかった場合に表示されるボタンを押すと、IT担当者と質問者によるTeamsチャットグループが自動的に作成され、直接IT担当者へ問い合わせできる仕組みになっています。
また、チャットボットを利用している社員宛に、IT担当者からお知らせなどを一斉送信できる機能も実装いただきました。実際にヘルプデスクチャットボットに実装された通知機能や解決ボタン、エスカレーション機能も、そうした一つひとつの提案の積み重ねから生まれたものです。
どのような疑問や質問にも丁寧に向き合ってくれる
弊社とのコミュニケーションや進め方、導入後の運用サポートについて印象に残っていることはありますか。
池口様
私たち担当者が知見不足で至らない質問をしてしまう場合があっても、丁寧にサポートいただけていると日々感じています。些細なことや疑問も含め、すべての質問に対して意図をくみ取っていただき、前述のとおり、回答やご提案を適切かつ迅速にいただけるので、大変助かっています。
エスカレーション対応工数は66%から18%に、月の対応時間の大幅削減を実現
AI正答率86%。人による対応は月50件から23件に減少
導入後、社内の情報検索・ナレッジ共有や工数の面でどのような変化がありましたか。
池口様
2026年3月1日〜6月30日に取得した社内データでは、AIによる一次回答の正答率は86%に達し、人によるエスカレーション対応の比率は66%から18%へ大きく減少しました。人による対応件数も月50件から23件へ半減しています。問い合わせ対応時間は月あたり52.5時間の削減につながっています。ナレッジデータは2,000件を超える実際の問い合わせと回答を学習し、現在も蓄積・学習を継続しています。
驚いたことに、運用を開始してから問い合わせ件数が倍近く増えました。「これまで埋もれていた社員の困りごと」にも対応できていることを実感することができました。
社員の皆様の「問い合わせのしやすさ」が増したということですね。応答速度や稼働時間などに関してはいかがですか。
池口様
平均応答時間は10秒程度を目安に設計されているので、問い合わせてすぐに回答が返ってくる感覚があります。稼働についても24時間365日利用できる体制が基本となっており、時間帯を気にせず使えることも社員にとって安心材料になっていると思います。
ルール徹底で、社内定着率は99%に
社内での利用状況・定着度はいかがですか。
池口様
エスカレーション機能を用意し、問い合わせは必ずKICK SEARCHを通すルールを社内で設定しました。結果として、社内の問い合わせの99%をKICK SEARCH経由に統一できています。
想定以下だったことは一つもない―期待を上回る効果を実感
導入前に期待していたことと比べて、実際の効果にギャップはありましたか。
池口様
想定以下だったことは一つもありません。問い合わせ件数は増えましたが、それにもAIで十分対応できていますし、導入時から現在にかけてAIの回答精度が上がっていると感じます。期待以上のことばかりでした。当初の課題であった、本当に注力すべき業務に時間を使えないという状況も解決したと実感しています。
他の技術部門へも横展開し、全社のAIサポート基盤構築へ
他部門への展開を見据え、AIサポート基盤として拡大
KICK SEARCHの活用範囲を今後さらに広げていきたいという構想や、弊社への期待はありますか。
池口様
当社の他の技術部門にも横展開し、当社のAIサポート基盤を整えていきたいと考えています。今後も各部門から様々なご相談をさせていただくと思いますが、引き続きサポートをお願いしたいです。
Excel形式の想定問答管理で、自社でも更新できる仕組みに
運用の中で、KICK ZA ISSUEに頼らず御社側で対応できる部分もあったのでしょうか。
池口様
はい。想定問答はExcel形式で管理されており、内容の追加や更新は私たち担当者からでも行える設計になっています。ITヘルプデスクとしての運用やトラブルシューティングも当社側で対応できる部分があり、サポートに頼りきりにならず、自分たちでも手を加えていける仕組みを整えていただけました。
伴走型の支援体制が導入後も続いていることが最大の価値
今回のご支援の中で、御社にとって特に価値があったと感じることは何ですか。
池口様
伴走型で実装していただいた点です。そしてそれが導入後の現在も同様のサポートとして続いている点が、特に良かったと感じています。
推薦コメント:クライアントのニーズに寄り添い、安心して伴走してくれる存在
最後に、他社にKICK SEARCHやKICK ZA ISSUEを勧めるとしたら、どのようなポイントを伝えたいですか。
池口様
クライアント側のニーズやレベル感をしっかり理解いただき、最適なサポートを常に行ってくださいます。企業のDX推進を安心して進められるよう、伴走してくださるところをお伝えしたいです。また、開発や導入だけでなく、コンサルティングも含めて伴走型で支援いただけた点も、他社様にぜひお伝えしたいポイントです。